目標と練習時間
検定試験や目標達成について
そろばんの検定試験では、3級、2級、1級、そして初段、弐段……と、順調に進級・昇段していく生徒がたくさんいます。
しかし、高段位になってくると、今までのように順調には合格できなくなることがあります。
これは決して不思議なことではありません。
級や段位が上がれば、当然ながら合格するために求められる力も高くなっていくからです。
3級に合格したときと同じ練習量で、初段、五段、八段……と同じペースで進んでいけるわけではありません。
特に最高位の「十段」になると、数字の書き方などの審査も厳しくなり、簡単に合格できるものではありません。
「長く練習する」だけでは足りないこともある
私は生徒たちに、目標達成までの練習について**「飛行機の離陸」**に例えて話すことがあります。
例えば、ある目標を達成するために「10時間の練習が必要」だったとします。
それなら、
「1週間に1時間ずつ練習して、10週間で合計10時間やれば同じじゃないの?」
と思うかもしれません。
でも、実際にはそう単純ではありません。
1週間にたった1時間の練習では、次の練習までに感覚が薄れてしまったり、前回できるようになったことを取り戻すところから始まったりします。
練習時間は、ただ合計すればいいわけではありません。
ある程度の練習量を、一定の期間に集中して確保することがとても大切です。
ダイエットで考えてみても分かりやすいかもしれません。
「毎週1回だけ、1食抜く」
これを何か月も続けたとして、劇的なダイエット効果が期待できるでしょうか。
もちろんゼロではないかもしれませんが、大きな変化を起こすには、それに見合った取り組みが必要です。
飛行機は、一定のスピードに達して初めて飛ぶ
話をそろばんに戻します。
飛行機が離陸するためには、機体や条件によって異なりますが、ある一定以上のスピードが必要です。
例えば、仮に離陸するために時速250kmが必要だとしましょう。
時速240kmまで加速して、そのスピードでどれだけ長い距離を走ったとしても、必要な条件に達しなければ離陸することはできません。
大切なのは、
「どれだけ長い距離を走ったか」ではなく、「離陸に必要なスピードまで上げられたか」
ということです。
私は、そろばんの練習もこれに似ていると思っています。
週に少しずつ、何年間も練習を続けることにも、もちろん意味があります。
しかし、目標によっては、それだけではなかなか届きません。
ある一定期間、必要な練習量を確保して、一気に力を引き上げなければ突破できない壁があります。
高段位になればなるほど、その傾向は強くなります。
「こんなに長く続けているのに、なかなか合格できない」
そんなときは、練習を続けてきた年月だけではなく、
「今、離陸するために必要なスピードまで加速できているだろうか?」
と考えてみることも大切です。
目標が高くなれば、それに必要な練習量も変わります。
今までと同じ練習量で結果が出なくなったのであれば、それは能力がなくなったわけではありません。
次の目標に必要な練習量が、今までより大きくなったということです。
飛行機も、滑走路をゆっくり走り続けるだけでは空へ飛び立てません。
しっかりと加速し、必要なスピードに到達したとき、初めて大きく空へ飛び立つことができます。
そろばんも同じです。
目標を決めたら、その目標に必要な練習量を考え、一定期間しっかり練習する。
その「加速する期間」を作ることが、目標達成への大切なポイントだと思っています。
次回は、「練習について」もう少し具体的に書いてみたいと思います。
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